本稿は、2025年9月16日に行われたOP Succinct導入後の状態を前提に、初心者向けにMantleネットワークとMNTトークンの基本をわかりやすく整理したものです。
投資助言ではありません。
Mantleは、ZK有効性証明とEigenDAを組み合わせたZK Validium型のイーサリアムL2で、送金やDeFiを速く安く扱いやすくします。
この記事でわかること
Mantleネットワークの位置づけ
MNTトークンの役割
OP SuccinctとEigenDAの関係
利用者にとっての具体的メリットと注意点
Mantle MNT とは
Mantleはイーサリアムのレイヤー2で、実行とデータ可用性を分離したモジュラー設計を採用するネットワークです。
2025年3月にデータ可用性をEigenDAへ移行し、2025年9月16日にOP Succinctをメインネット導入して、状態遷移の検証にZKベースの有効性証明を使えるようになりました。
重要な用語整理
ベンダーや一部メディアは「世界最大のZKロールアップ」と表現しますが、MantleはトランザクションデータをイーサリアムではなくEigenDAに掲載するため、厳密にはZK Validiumとして扱われます（L2BEATの分類と、Mantle自身の注記もこれを示唆）。
表現の揺れがある点を理解しておくと混乱を避けられます。
MNTトークンの役割
MNTはMantleネットワークのネイティブガス通貨で、手数料支払いとガバナンス参加に使われます。
ウォレットにMantleを追加してMNTを用意すれば、dApp利用や送金が可能になります。
チェーンIDは5000です。
技術の現在地（噛み砕き版）
OP Succinct
OP Stack互換を保ったままZK有効性証明を導入する仕組み。
Mantleはこれにより、暗号学的に検証可能な最終性と短い引き出し時間を実現します。
EigenDA
外部のデータ可用性レイヤー。
Mantleは取引データをEigenDAに保存し、コストを抑えながら高スループットを狙います。
分類のポイント
イーサリアムにデータを載せるロールアップとは異なり、外部DAを使うMantleはL2BEATでは「Validium相当」と説明され、さらに現状は「DAブリッジ不在」のためothers扱いになっています。
Mantleの基本情報 一覧
最新の公式発表とL2トラッカーを突き合わせ、初心者が最初に知っておきたい項目を表にまとめた。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| チェーン種別 | イーサリアムのレイヤー2 |
| 証明方式 | ZKロールアップ OP Succinctをメインネット採用 2025年9月16日 |
| データ可用性 | EigenDA を採用 |
| ガス通貨 | MNT |
| チェーンID | 5000 |
| 位置づけ | 低手数料と高速な確定を志向するモジュラー型L2 |
上記の内容はSuccinctのメインネット移行告知とL2BEATのMantleページに基づく。
詳細解説
ZK Validity移行とエコシステムの成長（強気材料） 概要 Mantleは2025年9月16日にOP Succinct（SuccinctのZKスタック）をメインネット導入し、ZK有効性証明による検証を稼働させました。
最終性の目安は約1時間、出金は約6時間まで短縮され、完全なEVM互換性を維持しています。
TVL/TVSは20億ドル超の水準となり、最大級のZK系L2として言及される状況です。
意味するところ 確定速度の短縮と証明コストの低下（最小で1取引あたり約0.002ドル規模が示される）により、dAppにとっての体験コストが下がり、開発者採用の加速が見込まれます。
RWAや機関投資家向けの利用シナリオでも、短い確定と引き出し時間は運用上の扱いやすさを高めます。
留意点 ZKロールアップと表現されることがありますが、Mantleは外部DA（EigenDA）を用いるため、分類上はZK Validium相当です。
用語の違いを理解したうえで評価しましょう。
Bybitとの連携と取引所での存在感（影響はやや複雑） 概要 Bybitは「Mantle × Bybit Roadmap」を通じて、MNTの現物ペアを4から20以上へ拡大、オプションや決済、Earnなどへユーティリティを広げています。
期間限定キャンペーン（例：25万USDT規模のプロモーション）や各種特典が流動性の呼び水になっています。
市場推計では、ある時点でBybitがMNT出来高の約3〜4割を担うとの見立てもありますが、比率は日々変動します。
意味するところ ユースケース拡大と出来高面では追い風ですが、単一取引所への依存が高まると、キャンペーン終了時の需給反転やボラティリティ上振れのリスクも意識が必要です。
APRや手数料割引などの数値条件は常に変更され得るため、実際の画面・告知で最新情報を確認してください。
マクロ環境とETHとの連動（強気寄りだが注意点あり） 概要 2025年8月の現物ETH ETFには数十億ドル規模の資金流入が観測され、ETH主導の資金回帰が話題となりました。
Mantleの準備金には約10万ETH規模（数億ドル相当）の保有が公表されており、ETHサイクルとの連動性が高まる可能性があります。
相場局面によってはMNTとETHの相関が高まる傾向が見られます。
意味するところ ETHが資金流入で強含む局面では、ETH中心のL2であるMantleにも資金が波及しやすい一方、逆回転時には影響も受けやすくなります。
短期のテクニカル指標（RSIや出来高、先物の建玉など）は一時的に過熱を示すことがあり、その際の値動き拡大に注意が必要です（具体数値はタイミング依存のため記事には固定記載しません）。
結論 ZK Validity移行による実用面の改善、取引所連携によるユースケース拡大、ETH市場の追い風が重なり、Mantleは使いやすく流動性も厚いL2として存在感を強めています。
一方で、外部DA依存という設計上のリスクや、CEXキャンペーン依存の需給、ETHサイクル連動による上下ブレも無視できません。
最新の公式発表と第三者評価を併読し、数値条件やキャンペーンは都度の告知で確認しながら段階的に活用するのが無難です。
何が便利になるのか
送金や入出金の待ち時間が短くなる
OP Succinct導入後、最終性の目安が約1時間、引き出しは約6時間程度まで短縮と説明されています。
CEX⇄L2の資金移動やチェーン間のやり繰りが軽くなります。
日常の手数料負担が下がりやすい
データ掲載をEigenDAに逃がすため、イーサリアム本体より手数料が抑えられやすく、DEXスワップやNFT送付などの小口操作のハードルが下がります。
開発者・既存ユーザーに優しい互換性
OP Stack互換を維持するため、既存のツールやコントラクト資産を活かしやすいのも利点です。
はじめ方 三つの流れ
ウォレットにMantleを追加
ネットワーク設定で「Mantle Mainnet」「チェーンID 5000」を追加。
MNTを用意
取引所やブリッジを使ってウォレットにMNTを入れる。公式のオンボーディング記事や各種ガイドが参考になります。
dAppを試す
スワップ、レンディング、NFTなど主要dAppはEVM互換の操作感で使えます。まずは小額から。
注意点とリスクの見方
外部DA依存による特有のリスク
現状Mantleはイーサリアム上の“DAブリッジ”が未整備と整理されており、データが外部に依存する設計のため、データが利用不能な場合の資金リスクがL2BEATのリスク概要で明示されています。
最新の設計変更やブリッジ整備状況は随時確認を。
運用・権限リスク
アップグレード権限や提案者・検証者の集中など、運用面の前提も理解が必要です。
L2BEATの「Funds can be stolen/lost」等の記述を定期的にチェックしましょう。
なぜ公式＋第三者評価の併読が重要か
新技術の投入直後は仕様変更や脆弱性対応の可能性が相対的に高く、ベンダー発表（Mantle・Succinct）と第三者評価（L2BEAT）でクロスチェックすることが、利用者の安全に直結します。
※本稿は情報提供であり、特定の投資行為を推奨するものではありません。
よくある質問
ウォレットはMetaMaskでもよいか?
EVM互換であるため一般的なEVM対応ウォレットで使える。チェーンID5000の追加が必要だ。
MNTは何に使うのか?
トランザクション手数料の支払いとガバナンスの参加で使う。
ZK化で何が変わるのか?
最終性の短縮と資金移動の待ち時間短縮、セキュリティ保証の強化が期待される。
Mantleは結局ロールアップなの？
ZKの証明を使う点ではZKロールアップ的ですが、データ掲載先がEigenDAのため、厳密にはZK Validiumとして整理されます。表現の揺れは出典によって異なります。
引き出しは本当に速いの？
公式発表では約1時間の最終性と約6時間の引き出しをうたっています。利用前に最新の運用状況を確認してください。
ガスはETHではなくMNT？
はい。MantleではMNTがガス通貨です。
まとめ
Mantleネットワークは、OP SuccinctによるZK有効性証明とEigenDAを組み合わせ、手数料と確定時間の両面で使い勝手を高めています。
一方で外部DAに依存する設計ゆえのリスクもあるため、公式発表とL2BEATの第三者評価を両方追うことが安全な利用の近道です。
簡易用語集
レイヤー2
イーサリアム本体の外で処理し、結果だけを本体へ反映する仕組みの総称。
ZKロールアップ
ゼロ知識証明で正しさを担保する方式。不正が起きにくく、確定が速い。
データ可用性
取引データが誰でも検証可能な形で公開されているかという性質。EigenDAはこの役割を担う専用レイヤー。
モジュラー設計
実行やデータ可用性などの役割を分離し、必要に応じて入れ替えや改良を行う設計思想。
ファイナリティ
取引が覆らない状態。短いほど資金移動がしやすい。
OP Succinct
OP Stack互換のままZK有効性証明を導入する技術スタック。Mantleはこれで最終性短縮と引き出し高速化を狙う。
EigenDA
EigenLayerの仕組みを活用した外部データ可用性レイヤー。高スループットと低コストを志向。
Validium
ZKで正当性を証明しつつ、取引データはL1ではなく外部DAへ保存する方式。Mantleはこのカテゴリに位置づけられる。
最終性
取引が覆らない状態。短いほど送金やブリッジの回転が速い。
MNT（Mantle）を取り扱う主要な取引所の一覧です
（最終確認日: 2025年9月23日、日本時間）。
上場状況や取引ペアは変わることがあるため、必ず各社の公式ページで最新情報をご確認ください。
| 取引所 | 市場種別 | 代表的な取引ペア | 備考 |
|---|---|---|---|
| Bybit | 現物・先物 | MNT/USDT（現物）、MNTUSDT（USDT建てパーペチュアル） | 公式スポット取引ページと先物ページで確認可能。複数ペアのスポット対応あり。 |
| Upbit | 現物 | MNT/KRW、MNT/BTC、MNT/USDT | 公式告知で3市場（KRW・BTC・USDT）への上場を確認。取引ページも公開。 |
| KuCoin | 現物 | MNT/USDT | 上場発表および現物取引ページあり。 |
| Gate.io | 現物 | MNT/USDT | スポット取引ページと価格ページで確認可能。 |
| HTX（旧Huobi） | 現物 | MNT/USDT | スポット取引ページあり。BIT→MNT移行対応の案内も公開。 |
| MEXC | 現物・先物 | MNT/USDT（現物・先物） | スポット取引ページおよびUSDT建て先物ページで確認可能。 |
| OKX | DEX・P2P（CEX現物は未確認） | DEXスワップ（MNT↔USDT 等）、P2PでUSDT購入後にDEX交換 | 公式「How to buy MNT」ページでOKX DEX対応、P2Pは法定通貨⇄USDTの仲介。中央集権型現物板でのMNTは確認できず。 |
注意点
- 居住国やKYCの状況によって、利用可否や提供商品（現物・先物）が異なります。各社の利用規約と地域制限をご確認ください。
- 取引は価格変動リスクを伴います。本表は上場有無と代表ペアの事実確認であり、投資助言ではありません。
