「サイトに訪れたユーザーが、どこをクリックし、どこで離脱しているのか?」
そんなユーザーのリアルな行動を”見える化”してくれるのが、Microsoft Clarity(マイクロソフト クラリティ)です。
2020年にMicrosoftからリリースされたこの無料ツールは、WebサイトのUX改善、CV率向上、UI設計の見直しなど、あらゆる場面で活躍します。
しかも、完全無料&広告なしで使えるという破格の条件。
この記事では、Microsoft Clarityの基本から応用までを徹底解説します。
第1章:Microsoft Clarityの特徴と魅力
無料で使えるヒートマップ&セッションレコーディング
多くのヒートマップ系ツールは、無料プランでは記録件数に制限があったり、広告が表示されたりする中で、Clarityは完全無料・無制限・広告なしという驚異的な仕様。
ヒートマップでは、以下のようなユーザー行動が可視化されます。
- クリックヒートマップ:どこがクリックされているか
- スクロールヒートマップ:どこまでスクロールされているか
また、セッションレコーディングでは、ユーザーの行動がまるで録画されたかのように再生可能。
スクロール、クリック、ページ遷移すべてが追跡可能です。
GA4との違いは?
Googleアナリティクス(GA4)は数値ベースの分析に優れている一方で、「なぜその数値になったのか?」を考えるのは難しいところ。
Clarityはその補完として、”行動の理由”を可視化してくれるのです。
例:あるページで直帰率が高い → Clarityで確認 → CTAボタンが見えていないことが判明
このように、GA4と併用することで、サイト改善のヒントが一気に広がります。
ユーザーのプライバシーも安心
Microsoft Clarityは、GDPRやCCPAといったデータ保護法にも準拠しています。
IPアドレスや個人情報は自動的にマスキングされ、プライバシーに配慮した設計がされています。
第2章:Microsoft Clarityの導入方法
基本の導入ステップ
- Clarityの公式サイト(https://clarity.microsoft.com/lang/ja-jp)にアクセス
- Microsoftアカウントでログインし、新しいプロジェクトを作成
- 生成されたトラッキングコードをコピー
- Webサイトの
</head>
タグ直前に貼り付けて保存
これで計測がスタートします。
WordPressでの導入方法
WordPressの場合、以下の2つの方法があります。
① テーマに直接コードを追加
外観 → テーマファイルエディター → header.php
にコードを挿入。
② プラグインを使う
「Insert Headers and Footers」などのプラグインを使えば、管理画面から簡単に設置可能。
Googleタグマネージャー(GTM)経由での導入
- GTMにログイン
- 新規タグを作成 → タグタイプは「カスタムHTML」
- Clarityのコードを貼り付け
- トリガーを「All Pages」に設定し、公開
導入後にやるべき初期チェック
- 48時間以内にデータが反映されるか確認
- サイトが正常に表示されているか
- 他の計測ツール(GA4等)との干渉がないかチェック
ヒートマップの種類
- クリックヒートマップ:ユーザーがよくクリックする場所が色で表示されます。ボタンやリンクの配置改善に役立ちます。
- スクロールヒートマップ:ユーザーがどこまで読んでいるかが一目でわかります。CTAが見られていないことも発見できます。
セッションレコーディング(録画)
実際のユーザー行動を、録画映像のように再生できます。以下のような点がチェック可能:
- ページ移動
- マウスの動き
- スクロールの速さ
- クリックの迷い(繰り返しクリック)
ダッシュボードで見るべき指標
Clarityのダッシュボードでは、以下のようなデータが可視化されます。
- Dead Clicks(無意味なクリック)
- Rage Clicks(連打クリック)
- Excessive Scrolling(過剰なスクロール)
- Quick Backs(すぐ戻ったセッション)
これらの指標はUXの問題をあぶり出すのに非常に有効です。
フィルタとタグの活用
フィルタ機能を使えば、特定のURL・デバイス・ブラウザ・国などでセッションを絞り込めます。
タグ付けもできるので、チームで共有する際にも便利。
第4章:活用シナリオ別・Clarityの使い方
離脱率が高いページの改善
Clarityでヒートマップを見ることで、「読まれていない」「クリックされていない」要素が明確になります。
CTAの位置変更やコピーの書き換えに役立ちます。
フォームの改善
フォーム入力中に離脱されるケースも、セッションレコーディングで発見可能。
入力フィールドが分かりにくい、エラーが出ているなど、改善ポイントが明確に。
UXの最適化事例
- スマホでメニューが開けていない → ハンバーガーメニューを改善
- ページ読み込みが遅い → 表示速度の改善で離脱率が改善
ABテストとの組み合わせ
ABテストを行う際に、Clarityのヒートマップや録画を見ることで、「なぜAの方が良かったのか?」という分析が可能になります。
第5章:他ツールとの比較(GA4・Hotjar・Ptengineなど)
ツール名 | 無料プラン | ヒートマップ | レコーディング | フィルター | 日本語対応 | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|---|
Microsoft Clarity | ◎(無制限) | ◎ | ◎ | ◎ | △(英語UI) | 広告なし、完全無料、Microsoft製 |
Hotjar | △(制限あり) | ◎ | ◎ | ◎ | ◯ | UXに強いが無料は制限あり |
Ptengine | ◯(制限あり) | ◎ | ◯(要課金) | ◎ | ◎ | 日本語サポートあり、UIが親切 |
結論:個人〜中小企業での使用なら、まずはClarity一択。複数人チームや多国展開をしているなら他ツールとの併用も検討。
第6章:Clarityの注意点とよくある質問
Q1. データが表示されない!
- 導入後、最大48時間は待つ必要があります。
- タグが正しく設置されているか再確認
- 他のJavaScriptと干渉していないか確認
Q2. サイトが重くなる?
- Microsoft Clarityは非常に軽量なスクリプトです。
- ページ速度にはほぼ影響しません。
Q3. ユーザーのプライバシーは?
- Clarityは個人情報を自動でマスキングします。
- GDPR、CCPA対応済みなので、安心して使えます。
🆕 アテンションマップとは?注目エリアを色で可視化!
2025年にClarityに新たに追加された「アテンションマップ(Attention Map)」は、ユーザーがどのエリアに注目していたかを色の濃淡で可視化できる新機能です。
これは、ヒートマップのようにユーザーの”視線”に近い動きを再現しており、以下のような使い方が可能です。
アテンションマップでわかること
- ページ内で特に注目されたエリア(色が濃い)
- 無視されがちなエリア(色が薄い)
- ファーストビューやCTAボタンが実際に見られているかどうか
どこがヒットしてる?どこがスルーされてる?
従来の「クリックヒートマップ」「スクロールヒートマップ」では判断しづらかった「ユーザーの興味の集中ポイント」を、アテンションマップが直感的に示してくれます。
例えば。
- テキストの途中で色が極端に薄くなる → ユーザーが途中で読むのをやめている
- 画像バナーに色が集中している → 強く注目されているコンテンツ
Clarityのアテンションマップは何がすごい?
- 完全無料で利用可能(追加費用なし)
- 自動的に記録され、レポート上で簡単に確認可能
- ユーザーごとの違いも、フィルタ機能で詳細に分析できる
UX改善やコンテンツの最適化に非常に役立つ機能なので、今後のサイト改善にぜひ活用したい機能の一つです。
まとめ:Microsoft Clarityは今すぐ導入すべき無料神ツール
Microsoft Clarityは、これからのWebサイト運営・改善に欠かせない「ユーザー行動分析ツール」です。
🔍 Clarityが向いている人:
- 離脱率が高いページを改善したい
- ユーザーがなぜコンバージョンしないのか知りたい
- ヒートマップや録画ツールにお金をかけたくない
完全無料・高機能・導入も簡単。
まだ使っていない方は、今すぐ導入して、サイト改善の一歩を踏み出しましょう!